福知山の“今”を伝え、地域とともに歩む新聞記者|株式会社両丹日日新聞社社員インタビュー【福知山市】

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1945年の創刊以来、地域に密着した情報発信を続けている両丹日日新聞社は、京都府福知山市(旧三和町、夜久野町、大江町を含む)のニュースを届けている新聞社です。

地域の暮らしに寄り添い、まちの出来事や人々の思いを丁寧に伝える新聞として、長年にわたり地域の読者に親しまれています。

今回は、記者として取材・執筆を担当する片尾太一さんに、新聞づくりの現場や仕事のやりがい、地域メディアとしての使命についてお話を伺いました。

片尾太一さん
福知山市出身。京都市内の大学を卒業後、大型工場や研究所などに納品する空調機器を手掛ける企業に就職。
東京の設計部で3年働いたあと、営業部への異動と同時に仙台に転勤。
東北6県をエリアに2年間勤務。
両丹日日新聞社への転職を機に2023年3月に福知山に移り住んだ。

両丹日日新聞社で担当している業務について

―現在の部署とお仕事内容を教えてください。

片尾太一さん(以下:片尾さん):編集部で記者として働いています。関係機関や住民から寄せられた情報や、自分で企画した内容をもとに取材・執筆をして、記事を出すまでを一貫して担当しています。毎日このサイクルを繰り返しながら、地域の出来事を取材しています。

―どんな内容を主に担当されていますか?

片尾さん: 現在は、警察・消防・大学関連を主に担当しています。

事件や防犯、交通安全に関する出来事を取材したり、福知山公立大学や京都工芸繊維大学の学生さんや先生方の活動などを記事にして伝えています。

また、地域ごとの担当もあり、私は夜久野町を受け持っています。住民さんたちの暮らしの中の温かい話題から行政の施策まで、夜久野町で起こることはすべて私が取材対象です。

―記者さんは何名いらっしゃるのですか?

片尾さん:今現場に出ているのは7人で、編集長を含めて8人です。

―入社以来、ずっと担当は同じですか?

片尾さん:私は今年で3年目になりますが、現在の担当になったのは、今年の初めからです。

地域担当は自分の希望で夜久野町を続けていますが、部署内で定期的に担当替えがあるので、その他の分野は何度か変わりました。

これまでに、神社仏閣や宗教関係、鉄道、自衛隊などを担当しており、幅広い分野に関わる機会をいただいています。

―夜久野町の担当を継続希望した理由を教えてください。

片尾さん:私が入社した頃、数か月後に担当の方が退職されることになり、その入れ替わりで夜久野町を受け持つことになりました。

その方は約40年にわたって夜久野町を担当されていて、住民の方々からも信頼されるすごい方だったんです。

実際に引き継いで取材をしていく中で、地域の取材は他のテーマとはまったく違う難しさと深さがあると感じました。

ある程度関係性ができていないと聞けない話も多く、同じ地域を継続して取材することの大切さを実感したんです。

そうした経験から、もっと深く地域を見つめて取材したいと思い、継続を希望しました。

これからも可能な限り、同じエリアの担当を続けていけたらと思っています。

両丹日日新聞社に入社したきっかけ

ーご出身は福知山ですか?

片尾さん:はい。小学校でいうと、雀部小学校出身です。

―ずっと福知山で暮らしておられるのですか?

片尾さん:いいえ、大学進学のタイミングで福知山を離れ、京都市内の大学に進学しました。

新卒で入社した会社では東京に配属され、そこで3年ほど働いた後、仙台に異動して丸2年暮らしていました。

―東京と仙台でも記者をされていたのですか?

片尾さん:いえ、全く別の業界でした。建設業に関わるメーカーで働いていたんです。

最初は設計の仕事をしていましたが、仙台への異動と同時に技術営業に異動になり、新築の大きな研究所や工場に、専門技術のサービスを提案する仕事をしていました。

―仙台の後はどちらに行かれたのですか?

片尾さん:仙台から福知山に戻ってきました。2023年2月のことです。

仙台での生活はとても良かったのですが、実家から遠すぎて、何かあった時にすぐ駆けつけられないことが気になっていました。

最初は京阪神エリアで、前職のキャリアを生かす転職を考えていたのですが、そんな時に母から「両丹新聞で記者を募集しているよ」と聞いたんです。

もともと文章を書くことに関心がありましたし、それ以上に、色々なことに興味をもてるタイプでもあったので、「まだ20代だしやり直しはきく。思い切って人生のハンドルを切ってみよう」と地元に戻りました。

一言で言えば、「好奇心」ですね。

―以前のお仕事を退職する時はどんなお気持ちでしたか?

片尾さん:前職は人間関係にも恵まれていましたし、キャリアステップも考えていただいていたので、後ろ髪を引かれる思いは多少ありました。

当時の部署は、自分を含め3人しかいなかったので、東京から人を異動する必要があり、半年ほどかかりましたが、ありがたいことに後任の方が決まり、最後は円満退職でした。

両丹日日新聞社でのやりがい

お仕事されてる中で、やりがいや嬉しかった瞬間はありますか?

片尾さん:たくさんあります!

記事を書いたあとに感謝の言葉をいただいたり、喜んでもらえたりすることが一番嬉しいですね。

また、地域の歴史を“活字”で残していけるのも大きなやりがいです。

両丹日日新聞の記事は福知山市の図書館にアーカイブされ、これから先も永久的に残っていきます。

さらに、ほかの新聞社が取り上げないような身近な話題を積極的に発信できるのも地域紙ならではですね。

日常の中で見過ごされがちな出来事を掘り起こし、形として残せることに、記者としての面白さを感じます。

ーこれまで取材した中で、印象に残っている記事はありますか?

片尾さん:印象に残っている記事はたくさんありますが、特に忘れられないのは、夜久野町にあった「ドライブインやくの」の閉店を取り上げた記事でしょうか。

2024年3月、37年間続いたお店が幕を下ろしました。

もともとは静かに店を閉じる予定だったそうですが、夜久野町をはじめ、福知山市民にとっては大きなニュースです。

夜久野町担当としては、ぜひとも取り上げたいと店舗代表者の方に相談したところ、最初は「いい話じゃないから」と断られました。

それでも「多くの人の思い出が詰まったこの店の閉店を知ってもらうことには意味があると思う」と訴えたところ、会社の上層部にも掛け合ってくださり、記事にすることができました。

掲載後の反響は想像以上で、テレビや他紙でも取り上げられたこともあり、店舗には閉店を惜しむ人たちが連日詰めかけ、閉店当日には住民の皆さんによるセレモニーまで開かれました。

最後に代表の方から「片尾さんに取材してもらってよかった」と言ってもらえた時は、本当に嬉しかったです。

入社してまだ1年も経っていなかった私にとって、大きな自信につながった出来事でした。

―素敵なお話ですね。取材をする時に大切にしていることはありますか?

片尾さん:二度と同じ現場はない、ということを常に忘れないようにしています。

私たちにとっては数ある取材のひとつでも、取材される方にとっては一生に一度の経験かもしれません。

だからこそ、一人ひとりに満足していただけるよう、丁寧に取材し、文章を作ることを大切にしています。

両丹日日新聞社で経験した困難

―大変なことや困ったことなどはありますか?

片尾さん:地方紙である両丹日日新聞は、福知山市だけの話題で紙面を埋めなければなりません。

そのため、常に一定のペースで記事を出し続ける必要があります。

もちろん、時間をかけてじっくり書く記事もありますが、取材活動と並行して書き続けるので、スピード感も求められます。

一度に抱える記事数が増えてくると、「もっと時間があれば…」というもどかしさを感じることもありますね。

ースピード勝負なんですね。

片尾さん:はい。ただ、スピード勝負である一方で、ミスが許されないという厳しさもあります。

新聞は活字として印刷されるので、出稿後に修正ができません。

間違えないようにしながら、走り続ける。その両立は意外と大変です。

でも、そこは自分の努力でどうにかできる部分でもあるので、気合いを入れてやりきるしかないですね。

―毎回違う人とお話しする中で大変なことはありますか?

片尾さん:もちろんあります。

取材を快く引き受けて、親しげに話してくださる方もいれば、ある程度の距離感を保たれる方もいます。

さまざまな人と向き合う仕事だからこそ、相手に合わせたコミュニケーションが大切だと感じます。

また、初めて聞く専門的な話や地域特有の出来事を、その場で理解しながら深掘りしていくのも大変ですね。

両丹日日新聞社での働き方

-取材は1人で行かれているのですか?

片尾さん:そうですね。現地での聞き取りから写真の撮影まで一人で行います。

―ベテランの方から教えてもらったり、悩みを相談したりすることはありますか?

片尾さん:編集長には、記事での取り上げ方などを取材前に相談することがあります。

ただ、取材方法などの具体的な指導を受けることはあまりありません。

―では、取材スタイルは自己流なんですね。

片尾さん:はい、自己流です。

ベテラン記者、新人記者を問わず、その人に合った取材方法はそれぞれだと思います。

同じ出来事を取材しても、大切だと思う部分は人によって違うかもしれませんし、出来上がる記事は全て異なります。

その点では、若手でも自分の意見を尊重してもらえる環境だと思います。

記事を書く際には「記事の核とする部分はこれでよいか、取材先の方々が本当に伝えたいことはこれで間違っていないか」などと常に考えています。

そこが面白いところでもあり、奥が深く、悩ましいところでもありますね。

ー文章力はどうやって高めていくのですか?

片尾さん:先輩方とのやり取りの中で指導していただき、量をこなすことで高まっていくと思います。

入社当初は、一度書いた原稿が真っ赤になるほど赤入れされて返ってきました。

編集長やベテランの方々は、長年の経験を重ねておられるので、私の文章を見て、「これは違うんじゃないか」「もっとこう書いた方が伝わるんじゃないの」と的確に指摘してくださいます。

先輩は、取材現場を見ていないにもかかわらず、原稿を読んだだけで鋭く本質を突かれることも多く、毎回驚かされます。

ー他の記者の方と連携して、取材や執筆を行うこともありますか?

片尾さん:共通の企画を一緒に取り組むこともあります。

昼に校正の時間があるのですが、取材に出ていた記者たちが事務所に集まり、企画内容を話し合ったり情報を共有したりします。

また、地域の歴史などを扱う記事では、その地域に詳しい先輩からアドバイスをもらうこともありますね。

両丹日日新聞社への転職について

―お仕事を変えてみて、いかがですか?

片尾さん:まず、環境が大きく変わりました。

前職では、常に半年先や1年先を見据えて仕事を進めるような環境でしたが、今は、今日・明日のことに集中しています。

一日一日を噛みしめながら働いているような感覚がありますね。

季節の変化や、市民の生活を追いかけたりする中で、充実した日々を送ることができています。

福知山は都会に比べて穏やかな空気感があるので、自分のペースで仕事に集中でき、ちゃんと地に足がついている感じです。

―転職の時に思い描いてたものと、働き始めてからのギャップはありましたか?

片尾さん:それが、まったくギャップはなかったんです。

今感じている働きやすさは、転職前に思い描いていた通りのものでした。

正直、「入ってみたら全然違った」と感じることもあるのかなと思っていたのですが、それが全くなくて、驚いているくらいです。

転職前に「こういう仕事ができたらいいな」って思っていたことが、今できているので、本当にありがたいなと思いながら、日々仕事をしています。

―だからこそ、今のお仕事を楽しめているんですね。

片尾さん:そうですね。

ただ、新卒で両丹新聞に入っていたら、今とは違う思いだったかもしれません。

まったく異なる職種を経験してきたからこそ、今の仕事をブレずに楽しめているのだと思います。

―これからの展望を教えてください。

片尾さん:現状に満足しているからこそ、もっと成長するために自分を追い込んでいきたいと思っています。

どのように追い込むのでしょうか?

片尾さん:自分なりの目標を設けることです。

今は快適な環境に少し慣れてしまっている感覚があるので、自分でテーマや課題を設定して取り組みたいと思っています。

今は、担当分野の情報や自分が「面白い」と思うようなものを取材して記事にするっていうのは、人並みにできるようになったかなと思います。

でも、もう一歩踏み込んで、読む人が「おっ、面白い視点やな」と思うような取材やテーマ設定がまだまだだと思っています。

先輩方や他紙の記事を参考にしながら、自分らしい視点を模索中です。

両丹日日新聞社で働く人の特徴について

―どんな人が、両丹日日新聞社に向いていると思いますか?

片尾さん:何でも面白がれる人だと思います。

文章を書くのが得意でなくても、しばらくすれば、ある程度書けるようになります。

それよりも、読んだ人が面白いと感じる着眼点で書くことや、取材対象に真摯に向き合う姿勢が求められていると思うので、興味・関心をもって物事に取り組める方なら、この仕事を楽しめるのではないでしょうか。

記者自身が好奇心をもって取材すれば、市民の皆さんもいろんなお話をしてくださいます。

普段入れない場所に足を踏み入れて話を聞けるのも、新聞記者ならではの魅力です。

そうした経験を楽しめる人に向いていると思います。

京都府北部で働くということ

―福知山で働く魅力や、福知山に帰ってきてよかったと感じるのはどんな時ですか?

片尾さん:やはり、家族や友人が近くにいることです。それに尽きますね。

慣れ親しんだ場所で暮らせる安心感がありますし、地元の友人と会って話す時間が、何よりのリフレッシュになっています。

ーどんな人に、福知山での暮らしや仕事をおすすめしたいですか?

片尾さん:福知山では、林業や農業など目的を持って移住してくる方が多く、皆さんがやりたいことを実現されています。

仕事柄、そうした移住者の方々にお会いする機会も多いですが、地域の人たちもとても温かく移住者を受け入れる雰囲気があり、すぐに地域に馴染める環境があります。

何かやってみたいことがある人にとっては、ぴったりな場所だと思います。

インタビューを終えて

坂根

片尾さんのお話から、地域に根ざした新聞記者という仕事の奥深さと、取材を通じて人と人をつなぐ地域の新聞社としての使命が伝わってきました。

 一つひとつの出来事を、丁寧にまちの記憶として残していく姿勢は、まさに地域メディアの原点ですね。

また、生まれ育った場所で暮らし、働いていく安心感を語ってくださったことも印象的でした。

地域の出来事や人の思いを伝える仕事に関心のある方は、ぜひ一度、記者という仕事の魅力に触れてみてください。

採用に関するお問い合わせ

株式会社両丹日日新聞社に興味を持たれた方は、ぜひ下記の採用ページからお問い合わせください。

会社情報

株式会社両丹日日新聞社
京都府福知山市篠尾新町 1-99
TEL:0773-22-2688
FAX:0773-22-3232
創刊:1945年10月1日
サイト:https://www.ryoutan.co.jp/

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吉田

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